憧れ

会社でインフルエンザが流行っていたらしい。今現在休んでいる人、治って復帰した人。何も起こらない人。私とHさんはいちばん後ろの人だ。Hさんは子供の時にマラソン大会が嫌で風邪をひきたっかったらしい。薄着で頑張ってみたが風邪をひかなかったらしい。「鼻声にあこがれるわぁ」って言っていた。
会社で私の席は角の窓際だ。エアコンが効かないのですごく寒い。しもやけになった。寒いのでひざかけを肩にかけて羽織ることがよくある。隣の席のHさんはすごく寒かったらしく羽織ったひざ掛けを胸元をクリップで留めていた。「どう、これ」なんて聞いてきた。「なんか怪しいです」と正直に答えた。「じゃあさ、首んトコをこうやって立てて襟みたいにするってのは?」と聞くので「ああ、それいいですね」と見た目は更に怪しいが発想が素晴らしいのでそう答えた。Hさんはさらに腕のところがスースーすると言ってそこもクリップで留めようとしていた。でもイマイチだったらしく何で留めるかを悩んでいたが留めるものがなく諦めていた。コピーやFAXするときもマントは身にまとわれたままだった。しばらくしてふと見ると胸元で留めていたクリップが、少し横の方に移動していた。「あっ、なんか横に留めておしゃれっぽくなってますね」と言うと「分かった?」とにやりと笑っていた。目の前の二人がそんな会話ばかりしているのをバイトの中国人の女の子はどう思っているんだろう。